夏のプール教室のあと

日陰の出来た校庭に寝そべってみると

アスファルトが溶け出た部分に陽炎が揺れている


その中に　先程までの女子の水着姿や

着替えた後のノースリーブ姿が

浮かんでは消えていく


子供ゆえ　その思いの矛先を向ける術を知らず

陽炎の瞬きと　己が胸の鼓動をシンクロさせる

思春期の　遠い思い出の1ページ

くるくる　くるくると

我は螺旋階段を　降り続ける


どこに続いているのか

なにが待ち受けているのかさえ解らぬまま


くるくる　くるくると

今日も　時を忘れ　我も忘れて


降り続けている我には解らぬ事だが

この階段は　上へ上へと　繰り出されていた

人生ってヤツは　リセットが利かない

それは　決してやり直しが出来ないって意味ではなくて

来世ってものが　あるのかは解らないが

あるとしたら　今の人生を終えて初めてリセット可能と言えるのかも


でも　本当に　来世ってものがあるのなら

何故今までの記憶を持って行けないのだろうか

そうでなければ　人類なんて　いつまでたっても毛のない猿でしかない

めっちゃグルメな料理じゃなくても

そこそこ美味しい物を　腹いっぱい食べられたら

「ああ、美味しかった。ごちそうさまでした。」って言葉が自然と出てくるよね


人生も　同じ事が　言えるんじゃないのかな

順風満帆で　一生苦もなく　したい事もできる人生は望むべくもないが

谷あり山ありでも　充実出来たなら　それでいい


でも　苦難ばかりで　良い思い出さえも霞んでしまうと

地獄の餓鬼みたいに　手当たり次第に　貪り食うように

なんでもかんでも　手にしようとして　消化不良を起こす


「おいしい人生」「おいしい生活」ってフレーズがあるけど

もう　お代わりはいりませんって　言える様になりたい

「ごちそうさま」って言って　死んで行けたら　それで本望

欲しい物を挙げたら　限りがない

でも　衣食住はそこそこ足りている

だけど　ココロがきりきりと痛みます

何が足りないのか

何が欲しいのか

解っているけれど

解らないフリをしてる

そうでもしないと　ココロが壊れてしまうから

ねえ　あなたは　幸せですか

他人が　容易に手に入れられるものを

何故　自分は得る事が出来ないのだろう

それを　手に入れようとすると

必ず　手傷を負わずにはおれない

それは　自分には　望んではいけない事なのだろうか

何も　望んではいけないのだろうか

何も

何も・・・

出来うるなら　自分が若い時に知りたかったアーティスト
そして　もっともっと
彼のメッセージを聴きたかったアーティスト

彼の澄んだ歌声は
ボクの心に　一筋の清水の様に　染み入ってくる
時には荒々しく　時には穏やかに

彼のメッセージは　ボクを愛で包み
聴いた後は　すがすがしく思い
幾ばくかの　勇気を奮い立たせてくれる

青春とは　なんだろう？
愛とは　なんだろう？
幸せって　なんだろう？

彼も　ボクも　そして君も
答えを　探して　傷だらけになっている
それが　生きるってことなのかな

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BGM :FORGET ME NOT